工事を進めていく際には必ず”現場監督”という職種が必要となってきます。
現場監理という仕事の内容を知らないと、設計図とそれをカタチにするそれぞれの分野の職人さんがいれば空間をつくることができると考えてしまいます。
正確に言えばそれでも空間をつくることは可能です。
ただ、よりクオリティの高い空間を目指すとなると設計デザインや職人さんの技術ももちろん必要ですが、実は現場監督のクオリティというものが大きく影響してきます。
特に店舗の施工においては工程や作業手順などを柔軟に組み替えていくことやイレギュラーへの対応力、スピード感といったことが求められます。
現場監理の基本的な仕事といえば、工程監理・安全監理・予算監理・設計監理などが挙げられますが、まずはこれらの基本が確実に遂行できること。
その上でそれらのクオリティを高めていくことが大事になります。
例えば、最初に工程を組み上げたとしても、それに満足することなくいつどのようなイレギュラーが起きる可能性があるかなど前もって何度もシミュレーションを重ね、こうきたらここをこう組み替える、といったように工程の中にも前もって柔軟性や保険をもたせておくことである程度のイレギュラーなどがあっても工期が遅れたり、焦って下手な施工をしてしまったり、ということを防ぐことができます。
例えば、まずは防水区画をつくって、天井の設備を吊っていって、、、という基本的な工事の流れも、設計内容や工期や物件の工事条件などによって柔軟に変えていき、そのときその場所での最もベターな施工方法や工程を考えて実行していきます。
現場に関わる全ての職人さんの手配をしながら、常にプラモデルの説明書のようなものを頭に思い浮かべ、資材置き場・道具置き場・職人さんの作業場所・搬出入経路、、、ありとあらゆることをフル回転のまま進められるように何手も先まで読みながら全体をコントロールしていく。
加えて、より美しい納まりにするにはどうすれば良いか、設計士・デザイナー・施主様の意図はどうか、エンドユーザーにとって最適な納まりなのか、、など見た目や機能面も常に意識をする。
これらが「現場監理」という、一見地味で華やかではないですが、空間をつくるうえで非常に重要なファクターとなる職種です。
ちなみに、そのクオリティや経験値が高くなってくると、平面図を見ただけで天井裏のダクトのルートや配線のルートや下地の状況などが瞬時にイメージできたりするようになり、例えば、「ダクトをそのルートで通すとここで梁をまたぐことになりここの照明器具や梁型のLGS下地に干渉してふかさないとならなくなる可能性が高いから、このルートを通すようにして下さい。」など、その段階では職人さんも「?」と思うような指示まで出せるようになってきます。
現場監理がしっかりしていると、設計段階でのどんな上手なCGパースよりも実際にできあがった空間のほうが良く感じられることがほとんどです。
逆に現場監理がイマイチの場合はCGパースよりもイマイチと感じられる場合が多いです。
現場監理という仕事は非常にストレスも溜まり、あまり華やかではないイメージですが、実は空間の良し悪しを左右してしまうほどの重要な仕事になります。