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夜の街を空から見下ろすと

カテゴリ:デザイン

学生時代の卒業制作で、都市のハブとなる街に特徴のあるカタチの商業施設(建築物)をつくり、それと同じようなカタチをした建築物を街の随所につくっていく。すると空港から降り立って街を訪れた人々にとってまずはその街の景色が色濃く残り、その都市を訪れた実感が沸く。
その内容を表現するために内照式のアクリル板の箱をつくって、その上に実際の建物をスケールを合わせて立てていく模型をつくりました。建物を全て貼りつけて照明を点灯すると光るのは道路の部分と建物の側面だけになり、必然的に建物の屋上や屋根の部分は暗くなります。

よくTVの天気予報などで夜の街を空から見た映像が流れますが、上記の模型と同じように建物の上の部分は暗くてほぼ見えません。光って見えるのは屋上のフットサルコートやヘリポートなどです。

街にはこれだけ建物があるのに建物の最上部は室外機置場など人の生活とはおよそ関係のないような用途にしていることがほとんどです。法律などによる規制があることも大きく関係しているとは思いますが、もう少し外と中をシームレスにつなぐような建築物が増えても良いように思います。
最近できた麻布台ヒルズはかなり特徴的なカタチをしているかと思いますが、私が学生時代につくったものもまさにこのような流線形の建物でした。このような建物だと建物の上にさらに歩道などの道路があり、そこにまた店舗が立ち並ぶ。そうするとこの建物から空に向かって放たれる光の量は多くなり、そこにもまた人の生活空間が生まれる。

あたりまえのことを言っているのですが、屋上にも人の生活空間があるという概念を多くの人があたりまえに意識するようになると、おもしろい空間がもっとたくさん生まれるような気がしてなりません。
内装業者だからといって内装だけを考えるのではなく、建築物やランドスケープなど空間全体をみて人の環境というものを考えていきたいと思います。

 

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